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専門コラム 「週間ルーセント通信」 第21話 いい想定外で用途開発を促す

想定外という言葉が一般的によく使われることになったのは、東北大震災時の原発事故がきっかけだったように思います。
一般に想定外というのは、

  • 「発生すると期待していた、考えていた事と全然別な事象が発生すること」
  • 「発生しうると期待していた、考えたレベル以上の事象が発生すること」

2つに分けられると思います。

製造の現場で議論されるのは後者の方が多いでしょう。
例えば製品の仕様を決める時に、環境温度50度までは正しい機能を保持できるが、それを超えると60度で機能を停止し80度で破壊に至る、という想定を置いたりします。
なので、60度の環境で使われることは「想定外」ということになります。

では、前者の「想定外」はどうでしょうか?
実はこの想定とは全く別の事象が起きる「想定外」には、用途開発を拡大する非常に良い側面があります。
今回は、この良い想定外を見つけて育てることについて解説します。

企業の経営戦略を立てる時に、大企業であれ中小企業であれ、製造業であれ街の小売商店であれ、必ず考えなければならないことがあります。
それは、

  • 「自社の強みを見つける」
  • 「他店との差別化を図る」

です。

製造業であれば、常に自社の技術的な強みを把握して、それを活用することが基本戦略でしょう。

しかしビジネスとして持続、成長させるためにはこの自社の強みである技術を使った製品が、市場に多く流通する必要があります。
つまり、形を変えて様々な用途に利用活用されて、それが市場を開拓していくことが理想です。

その時にメーカー側が、「この技術を使うとこんな価値を生み出せるから、こういう用途に利用される」と固定観念を持ってしまうと、自らマーケットを狭めてしまいかねません。
ここは良い「想定外」が起きることを是非期待したいところです。
まるっきり別の使い方、利用の仕方をユーザーが見つけることで、つまりあなたが「想定していない」使い方から、別の新しいマーケットが広がることがあるからです。

例えば、元々はバーコードの情報量不足を補い、自動車の生産工場での部材管理を想定して作られたQRコード。
今ではスマホのカメラで読み取ってウェブサイトに誘導する使い方は、当初は想定していない使い方だったでしょう。
また、パソコンの周辺機器をつなぐために開発されたUSBインターフェースですが、いまでは単なる電源としてハンディ扇風機などにも使われています。
これもUSB企画を決めるグループにとっては「想定外」の利用と思います。

このように「そんな使い方があるんだ!」とメーカー側が思うくらいの「想定外」が新しい利用方法を発想させて、思いもよらない用途開発が進むことがあります。
それは、黙っていて勝手に起きることもあれば、意図的にそれが起こるように仕掛けることもできます。
仕掛ける時にするべきことは、「こんな技術がありますよ」と情報発信すること。
つまりテクニカルマーケティングです。

QRコードの例では、開発元のデンソーウェーブは技術的な仕様を全てオープンにしました。
それがユーザーに対して「想定外」の用途を発想させる原点でもあり、マーケティング戦略の1つとも言えるでしょう。
USBインタフェースの場合は、もともとオープンスタンダードとしてつくられた背景があり、はじめから市場を広げる意図がありました。

このように自社技術を積極的に開示して、うまく情報発信を行い、ユーザーの想像力を誘起させる。
そこから、作る側が「想定外」とも思えるような用途が生まれれば、ビジネスとしてのステップアップが期待できます。

あなたの会社では、自社の技術仕様をオープンにして新しい用途開発を促進させることができるものがありますか?