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専門コラム 「週間ルーセント通信」 第63話 後継者がいないと不満を言うより

今、日本では製造業だけでなく全ての業種において人材不足、人手不足が
叫ばれています。
特に中小企業では、社長の高齢化による後継者不足に悩む会社が後を絶たない
そうです。
東京商工リサーチによると、後継者難などで毎年3万件の企業が休業や廃業や
解散をしているそうで、なかには黒字で運営できているにも関わらず、
会社を清算することもあるようです。

そんな中、先日ある新聞記事を目にしました。
埼玉県の企業が、ある特殊技術を考案して事業化、1989年に会社を興した
創業社長の悩みです。
その会社が持つ技術については特許も取得し、現状では製品は全て
大手メーカーが買い上げるそうで「この製品は営業する必要がないんです」
という程、恵まれた製品を持っています。
さらにその需要は増加傾向という、まさに優良経営をしている企業です。

しかし、その社長の悩みが、自社の将来を任せる後継者がいないということ。
10年ほど前から取引先企業に頼んで、優秀な社員を後継候補として何人か
送り込んでもらっていたけれども、どの候補者も定着しなかったそうです。

いわく、中小企業の社長は、営業から開発、製造まで、細かく把握する
必要がある。製品の用途は住宅だけでなく、土木、金属、食品、化学繊維
など多岐にわたり、幅広い取引先から細かい悩みを聞き独自の技術提案を
して商機につなげてきたとのこと。
これと同じことができるような後継者が見つからないとのこと。

言われてみれば、何となくわかる気はします。
しかし、あえて批判を覚悟で申し上げるならば、これは後継者というより、
社長のコピーを探しているように思えてなりません。
現社長からすれば、自分と全く同じやりかたで同じパフォーマンスが
出来るコピー人間がベストで、その人に経営を任せれば安心だという思いが
強いのでしょう。

しかし本質的な目的は、その企業の存続と持続的な成長であるべきです。
その目的を達成するための戦略として、今までは社長が営業から開発、
製造まで目を配り、幅広い取引先から細かい悩みを聞き、独自の技術提案を
することが有効だったのでしょう。
しかし別の社長が全く違った戦略を持ちながら、その目的に向けて会社を
経営することがあってもかまわないと思います。

例えば全てを社長自身で行うのではなく、何人かの部下を育てながら
権限を分散していくという手もあります。
そういった人材が育っていけば、後々になって後継者不足に悩むという
ことはなくなることにもつながります。
場合によっては、他社との協業や自社ブランドの立ち上げなど、中小企業と
いえども会社を成長させていくには、必要な施策ではないでしょうか?
いつまでも自分のコピーを探すだけではなく、新しい視点で会社の成長を
目指すような経営者を探すという選択肢もあると思いませんか?